同じサービスで月額4万円と10万円の違いが生じる理由は?
同じサービスでも高価格で提供できるのはなぜ?
「同じようなサービスを提供しているのに、なぜあの会社は相場の2倍の価格で売れているのか?」
「あの金額で売れるなら、うちも値上げしたいんだけど」
「でも価格を上げてお客様が離れてしまうのが怖い」
同業他社の調査をしていれば、こう感じることはよくあると思います。
特に税理士、弁護士などの士業。「売上アップのための秘訣をお伝えします」と宣伝しているセミナーやコンサルティング業。
これらは、ものすごい数の競合がいる業界です。
競合が多いと、顧客側からすれば、いざ選ぼうという時にどこを選んだらいいかわからなくなるという弊害が生まれます。
すると、何が起きるかはお分かりですよね。
価格競争です。
「よくわからないから、安い方を買おうかな」となってしまう。
しかし、そんな価格競争に巻き込まれることなく、相場より圧倒的に高い価格を打ち出して、新規の申込をバンバン取っている士業やセミナー業、コンサル業の会社がいるのも事実です。
なぜあんなことができるのか?を知るために
・相場より高いサービスを買う人の心理
・高価格でも顧客が付く会社がやっていること
この2点にフォーカスしてみましょう。
顧客の心理状態を紐解く
顧客の心理を紐解くために、まずはシンプルに考えてみます。
競合が多い士業やコンサル業でごちゃごちゃと考えるのではなく、競合が少ない業界でどんなことが起きているのかを見てみましょう。
・価格が弊社の2倍の会社はどんな会社か
弊社ではニュースレター関連のサービスを提供しており、サービスのラインナップは複数ご用意しています。その中に、4~6万円のサービスがあります。
一方、A社というニュースレター会社は、弊社に比べてラインナップが非常に少ないです。
そして、弊社の4~6万円のサービスと同等に見えるサービスを、月額8~10万円で販売しています。
もしA社の社長と全く面識がなく、競合調査をしているうちにネット上でA社を見つけてリサーチしていたとしたら「A社ではニュースレターが10万円で売れているんだから、うちでも10万円にできるはず」と思ったかもしれません。
しかし実はA社の社長は私の古い友人ですので、人となりを知っています。
学生時代は勉強よりスポーツに打ち込んだタイプで、大手のコンサル会社に入社し、マーケティングを学んで独立してニュースレター一本でやってきた男性です。
上下関係を重んじ、礼儀正しく、請求書を受け取ったらその場で振り込む。人の悪口を言わない明るくまっすぐな人で、講演なんかも引き受けています。
・顧客は何にお金を払っているのか?
A社の顧客は、毎月A社社長とミーティングをします。
ニュースレターを作ってもらうためだけでなく、時には会社の相談をしたり、飲みに行ったりしているのかもしれません。
または、ニュースレターの話をするだけでも「あぁ、今日もA社社長と話せて元気が出たわ」と思えるものがあるのかもしれません。
ここに大きなポイントがあります。
その時間、元気が出たわという感覚、安心感。
諸々込みで、月額10万円というお金を払っているのです。
A社の顧客に「全く同等のサービスを提供しますので、来月からシミズが担当しますよ、6万円でいいですよ」と言ったところで「いやいや、10万円のままでいいからA社の社長としゃべりたいよ」と言われるだろうと思います。
A社の顧客は、ニュースレターだけが欲しいのではないのです。
A社社長との時間、社長の声、かけてくれる一言も、一緒に欲しいのです。
2倍の価格の会社がやっていること
2つ目の視点「高価格でも顧客が付く会社がやっていること」に着目してみましょう。
「A社の社長の人柄がよく、周りに元気を振りまくタイプであるから、ニュースレターサービスで月額10万円を払ってもらえる」
だとあまりに再現性がなさすぎますね。
A社と弊社が同じ業種で、価格差があるからこそわかることがあります。
どんな業種にも応用できますので、ぜひ参考にしてください。
・空気感を分かってもらっている
一つ目は、人柄を伝える機会を設けているということです。
A社の社長は、ちょっと話をすれば「あぁ、この人は若いときは野球か何かやっていたのかな」と分かる雰囲気があります。
そして決して支払いなどで期日を過ぎることはしない、とても真面目な人だというのも付き合っていればすぐにわかります。
感情に大きな波が無くて、いつ接しても安定感があり、人の悪口なんかも言わない安心感があります。
こういう空気感が合う、いいなと思う人は、A社に10万円を払うのです。
「空気感なんて言われてもわからないよ」と思うかもしれません。が、それは自分のことだからわからないのであって、あなたが話す相手は、あなたと5分も話をすれば「こういう人なのか」という目星をつけます。
それがすごく好印象だったり、憧れるようなものであったりすれば、高いお金を払ってもらいやすくなります。
「○○な空気感であるべき」という話をしているのではありません。大事なのはあなたらしさです。
無理して好かれる空気感を出そうとしても、自分がしんどくなるばかり。
どういう人になりたいか、ではなく、「自分はこういう人間ですよ、と理解してもらう機会を設ける」ということを意識するのが重要です。
・接触回数が非常に多い
A社のニュースレターサービスを受けるには、絶対に月に1回30分~1時間はA社社長と話さなければなりません。
それに対して弊社は、そのサービスについては時間を取らせないことに重きをおいており、ミーティングを省いてレターを仕上げることもあるくらいです。
接触頻度に絶対的な差があります。
価格差が生じるのは当然のことです。
先に、「自分がどういう人間かをわかってもらう機会を設ける」とお伝えしましたが、一度伝えればいいということはあり得ません。
なぜなら人、特に経営者は、会わない人を好きでいつづけるほど脳みそが暇ではないからです。
「お金もかかるし鬱陶しく思わせたら悪いから」なんて思って遠慮しているうちに忘れられてしまいます。
接触頻度と価格帯が比例すると言っても過言ではないほど、接触頻度は超大事です。
高価格を目指す前に考えなければならないこと
同業他社より価格を上げるには、人柄・空気感が好まれ、何度も接触することが大事だとお伝えしました。
ここで考えていただきたいのは「本当に高価格にしたいのか」ということです。
人と人として付き合い、頻繁に接触するのは結構大変だし、お金もかかります。それを本当にやりたいのか?を、胸に手を当てて考える必要があります。
「売上を安定させたいが、面倒な仕事はしたくない」という本音があるなら、安易に高価格を狙わず、手をかけずに高品質なサービスを作ることに注力するべきです。
「あなたじゃなきゃダメなの」と言われたいか、言われると面倒だから避けたいか。
言われたいなら「あなた」とはどんな人なのかを頻繁に伝えることから始めましょう。
今日から始められる2つのアクション
1. 自分の空気感を発信する
SNSやYouTube、ブログなど、あなたの人となりを発信する方法はいくらでもあります。テクニックに走るのではなく「どういう人間かわかってほしい」という思いで発信しましょう。
あなたの価値観、考え方、日常のエピソード。そうした等身大の情報を継続的に発信することで、あなたの空気感に共感する人が集まってきます。
2. 接触頻度を意図的に上げる
「接触頻度を上げましょう」とは言い古された言葉ですが、実際にできている人は少ないものです。
月1回のニュースレター、週1回のメルマガ、定期的な電話やzoomミーティング。お客様との接点を増やす仕組みを作りましょう。
まとめ
高額なサービスを売りたいなら、確実に費用対効果が釣り合うのであれば売れます。ただ高額なサービスをセールスするにも、信頼関係がモノを言います。
顧客が見えない価値に年間120万円を払う心理。
それは「この人とつながっていたい」という感情です。
あなたの空気感を伝える。存在感を感じ続けてもらう。そのために接触頻度がカギとなります。
テクニックに走らず、等身大のあなたを発信し続ける。それが相場より高い価格で選ばれ続ける唯一の方法なのです。