なぜ自社の魅力を上手く伝えられないのか?
「うちの会社の良さが全然伝わらない」
「一生懸命説明しているのに、なぜか響かない」
セミナー業、コンサルティング業、士業の方々とお話しすると、必ずと言っていいほど出てくる悩みです。
実は、これにははっきりとした理由があります。
自分で自分の魅力を伝えるのが難しい原因は、日常会話の中にも見つけられるのです。
ちょっと考えてみてください。
「自分はいい人です」と言う人を信用できますか?
なんかこの人ちょっと・・ と、違和感を感じるのが自然な反応です。
自社で自社のいいところをアピールするのには、これと同じような拒否反応を商事されるリスクがあります。
今回は、なぜ自己紹介では本当の価値が伝わらないのか、そして第三者による客観的な視点がなぜ不可欠なのかを、もう少し詳しく解説していきます。
信頼に関する驚くべき調査データ
まず、消費者がどこに信頼を置いているかを示すデータを引っ張り出してみました。
ニールセンが56カ国4万人を対象に行った「広告信頼度調査2021」では、実に88%の消費者が「知人からの推薦を最も信頼する」と回答しています。
さらに興味深いのは以下のデータです:
- 74%の消費者が「口コミが購買決定に大きな影響を与える」と回答
- マッキンゼー社の調査では、口コミが全購買決定の20〜50%に関与
- 75.5%の消費者がオンラインレビューを信頼
- 50%の消費者が「オンラインレビューを友人の推薦と同程度に信頼」
この数字からわかることは、まず「多くの消費者は口コミをかなり信用している」という点です。
そして、「知人の推薦」を重視している。
つまり、誰かに「あれいいよ」と言われるとそれを参考にするということがわかります。
企業が自ら発信する情報に対しての信頼度についての数値はありませんが、これを見るだけでも、企業がモノを買ってもらうためには口コミが重要であることは間違いないようです。
自己紹介には限界がある
なぜ自分で自分の魅力を伝えるだけでは足りず、口コミが必要なのでしょうか。
が困難なのでしょうか。これには深い心理学的な理由があります。
客観性の欠如という致命的な問題
一つは、人間が持つ「自分に対するバイアス」です。
人は誰でも自分に対してバイアスを持っています。
自分の長所は過大評価し、短所は過小評価する傾向があります。
これは「自己奉仕バイアス」と呼ばれる心理現象で、生存本能に根ざした自然な反応です。
しかし、このバイアスがあるからこそ、自分で語る自己紹介は客観性を欠き、聞き手に違和感を与えてしまうのです。
自分の長所に自分で気づくことができない
自分にとって「当たり前」のことは価値として認識しにくいものです。
たとえば接客業の人が、10年間欠かさず丁寧な顧客対応を続けているとします。それによって豊富な経験値が蓄積され、その接客術はますます素晴らしいものになっているはずですが、本人にとっては「普通のこと」に感じられたりするものです。
実際には外部の人から見れば、それこそが最大の差別化要因かもしれないのに、自分ではなかなか気づけないのです。
つい謙遜してしまう癖
日本の文化的背景も影響しています。
自分を積極的にアピールすることは「自慢」と捉えられがちなので、多くの人が謙遜してしまいます。
一方で、謙遜しすぎると今度は魅力が全く伝わりません。この微妙なバランスを自分でコントロールするのはとても難しいものです。
主観と客観の根本的な違い
「自分がどう思っているか」と「人からどう見られているか」は全く別のものです。
この認識のギャップが、自己紹介の限界を生む根本的な原因となっています。
内側の視点と外側の視点
あなたが毎日見ているのは「内側からの自分」のはずです。苦労している部分、足りないと感じている部分、改善したい部分に加えて、自分なりに頑張っている点、ここは自分の強みなんじゃないかと思っている点が特に目につきます。
一方、外部の人が見るのは「外側からのあなた」です。成果として現れている部分、他社と比較して優れている部分、当然のようにこなしている業務などが見えています。
例えば、コンサルタントの方が「まだまだ勉強不足で」と謙遜する一方で、クライアントは「この人の分析力は他の誰より的確だ」と感じているかもしれません。
この認識のギャップがある限り、人から見られる自分の評価を自分で発信することは非常に難しいのです。
専門ほどこのギャップに陥りやすい
専門性が高い人ほど、このギャップに深く陥りやすいという特徴があります。
なぜなら、「こんなことは業界では常識だ」と思っていることが、実は一般の人にとっては非常に価値の高い情報だったりするからです。
専門家の盲点とも言える現象で、だからこそ外部の視点による価値の再発見が重要になるのです。
口コミの力と限界
ここまでお読みいただければ、口コミがいかに重要かがおわかりいただけたはずです。
しかし、実は口コミにも限界があります。
口コミが持つ説得力
前述のデータからも分かるように、消費者は圧倒的に口コミを信頼します。
これは、口コミが「利害関係のない第三者の率直な意見」と認識されるためです。
企業の宣伝文句ではなく、実際にサービスを体験した人の生の声だからこそ、説得力があるのです。
しかし口コミにも課題がある
一方で、口コミには信憑性の問題があります。やらせレビューや身内からのコメント、競合他社による悪意ある書き込みなどが横行し、消費者も「すべての口コミが本物ではない」ことを理解しています。
また、自然発生する口コミは非常に少ないのが現実です。
ある調査によると、満足したサービスを受けた顧客の83%が「紹介したい」と答えるものの、実際に紹介行動を起こすのはわずか29%という結果が出ています。
つまり、自然発生的に書かれる口コミに頼っているだけでは、本当の価値が十分に伝わらない可能性が高いのです。
だからこそ必要な客観的第三者
自己紹介の限界と口コミの不安定性を考えると、必要になるのが「プロの客観的な第三者による価値の分析と言語化」です。
プロの視点がもたらす価値発見
専門的な知識と豊富な経験を持つ第三者は、あなたが気づいていない強みを発見できます。
業界標準と比較して、何が優れているのか。競合他社と比べて、どこに独自性があるのか。こうした分析は、当事者にはなかなか見えません。
言語化スキルの重要性
価値を発見するだけでは不十分です。それを相手に分かりやすく、魅力的に伝える言語化スキルが必要です。
専門的な第三者は、あなたの価値を適切な言葉で表現し、ターゲットに響くメッセージに変換してくれるはずです。
感情を排した冷静な評価
何より重要なのは、感情的な要素を排除した客観的な評価ができることです。
身内でもなく、利害関係者でもない立場だからこそ、冷静で公正な判断ができるのです。
第三者による魅力発見の実例
見落としていた強みの発見
ある税理士事務所では、所長にヒアリングをすると「うちは特別なことは何もしていない」という答えがいつも返ってきていました。
しかし、第三者の分析により「クライアントからの質問に24時間以内に必ず回答している」「説明が非常に分かりやすい」「節税だけでなく経営アドバイスまでしている」といった差別化要因が明確になりました。
業界標準との比較で見える長所
あるコンサルタントは「3時間のセッション」を当然と思っていましたが、業界標準が1〜2時間であることを知り、これが大きな差別化要因であることに気づきました。
時間をかけて丁寧に向き合うことが、実は最大の価値だったのです。
顧客視点での再解釈
最後は弊社の事例です。顧客管理をサービスの一環で行っていましたが、「リストがこまめに最新の状態に上書きされる」「顧客接触がしやすくなる」というメリットが生じていることを第三者から指摘され、顧客管理代行を独立したサービスにしました
自社内ではとても手の回らない作業を代行してくれるという声をいただいています。
第三者活用をどうやって取り入れるか
どのような第三者を選ぶべきか
理想的な第三者は、「あなたの業界に精通しつつも利害関係のない立場の人」です。
同業他社の経営者、異業種の経営者、マーケティングの専門家、ビジネスライターなどが考えられます。重要なのは、専門性と独立性のバランスです。
継続的に関係構築し続けることが重要
一度の分析で終わりではありません。ビジネスは常に進化するものですから、継続的に外部の目で評価してもらうことが重要です。
定期的なレビューを通じて、新たな価値や変化した価値を発見し続けることができます。
投資対効果の考え方
第三者による分析は確かにコストがかかります。
しかし、適切な価値を適切に伝えることができれば、売上向上、顧客満足度向上、口コミの自然発生など、投資を大きく上回るリターンが期待できます。
自社でできることには限界がある
内製でできる範囲を理解する
もちろん、すべてを外部に委託する必要はありません。
自社でできることと、第三者の視点が必要なことを明確に分けることが重要です。
日々のサービス向上や顧客対応の改善は自社で行い、価値の発見と言語化は外部の専門家に依頼するといった使い分けが効果的です。
外部視点導入のタイミング
新事業立ち上げ時、競合他社の台頭時、売上が伸び悩んでいる時、逆に好調すぎて次の戦略が見えない時など、変化点でこそ外部の客観的な視点が威力を発揮します。
まとめ:第三者視点は投資ではなく必需品
88%の消費者が第三者の声を信頼するという数字が出ているのですから、これからの時代、自社の魅力を自分だけで伝えようとするのは難しいということを覚えておいてください。
・自分では気づけない価値がある
・客観的な分析なくして適切な価値提案はできない
・口コミだけに頼るのは不安定すぎる
これらの事実を受け入れ、プロフェッショナルな第三者と連携することで、顧客にあなたの会社の価値を正しく伝えられるようになります。
また「盛りすぎない」「謙遜しすぎない」のちょうどいい情報を、顧客も心地よく感じてくれるはず。
第三者による客観的な分析と価値の言語化は、コストではなく投資だと考えてみてください。
そして今や、それは「あったらいいもの」ではなく「なくてはならないもの」なのです。
あなたの本当の価値を発見し、適切に伝えるために、信頼できる第三者との連携を今すぐ検討してみませんか?
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